■糖尿病について (三杉内科)
「糖尿病を早期に診断するためには?」 「糖尿病」という言葉は尿に糖が出る病気というように聴こえます。 しかし、ここには大きな誤解があります。 軽い糖尿病ではしばしば「尿に糖が出ない」ことが多いからです。 尿に糖が出るというのはかなり「血糖値」が高くなって初めて出るものです。 従って糖尿病を早期に発見したいのなら、食後で満腹時に「検尿・血糖」を測定した方がいいのです。 一般に、糖尿病の検査は「早朝空腹時に行うもの」となんとなく信じられているのですが、「早期に糖尿病を発見したい」という立場のみから言えば、「食後に」血液検査をしたほうがいいということになります。 空腹時の検尿・血糖値が正常であるからと言って「糖尿病ではない」と思っていると、実は「軽症糖尿病」が既に始まっているというケースは多数あるので要注意です。
世間一般には「糖尿食」とは特殊な食べ物のように考えたり、味が悪く、薄味で不味いものとの先入観があります。 しかし、「糖尿食」とは「健康食」なのです。 何を食べてもよろしい、少しずついろいろな食品をバランスよく食べて合計カロリーの帳尻は多すぎないように、日々の労働に見合った量を標準体重に合わせて食べていただくものなのです。血縁家族に糖尿病がいる人や、肥満体質など、いつも糖尿病になりたくないと思っている人は、血液検査や、検尿で、まったく「糖尿病」でない段階からもちろん、食事療法と運動療法は車の「両輪」ですから、この両者は「並行して」行うのが正当と思います。 「糖尿病に進行しないための工夫」は健康食である糖尿食を、検査異常を指摘される前から実践することと、週に最低3回の「食後の速歩」も実行することです。
「食事療法と運動療法」は糖尿病になった人もまだなっていない人も共に必要です。しかし、薬物療法・インスリン療法はもちろん「糖尿病」と診断された人のみが行うものです。 薬物ですが、これにはこの10年間、多種類のクスリが開発され、発売されました。以前はインスリン注射とSU剤(脾臓を元気つけてインスリンを出させるクスリ)の2種類しかありませんでした。 ところが最近では @食物の吸収を遅らせて食後の高血糖を押える薬(α・グルコシダーゼ阻害剤) A急速にインスリン分泌を促進させて食後の高血糖を抑える薬 Bたくさん分泌されているインスリンの働きを増強させて血糖を抑える薬(インスリン抵抗性改善剤) Cインスリン分泌も増強し且つインスリン作用も改善する薬 等次々と発売されました。 医療者側も選択に困るほどの時代になっています。 加えてインスリンひとつを取っても新しい製剤が開発され「直ちに効果のあるインスリン」「逆に、超長期に効果を持続するインスリン」もあります。 これらを患者さんの「病状」に合わせて使いこなすことによって「コントロール」調整が可能となってきました。 しかし、今もなお、治療の基本は「食事療法と運動療法」であることには変わりありません。
糖尿病の合併症は「血管の病気」と言われています。「ヒトは血管と共に老いる」と言われています。 合併症は頭の先から足の先まであります。脳梗塞・眼底出血・白内障・心臓病(狭心症・心筋梗塞)・腎臓病・下肢しびれや違和感・下肢の壊疽、その他全身の自律神経障害や感染症に弱いなどがあります。 これらを、観点を変えて「分類」し直すと、「細小血管症」(三大合併症とも言われる)は神経障害・網膜症・腎障害で、大血管合併症(動脈硬化症)は心筋梗塞・脳梗塞・下肢壊疽になります。 前者の「細小血管障害」は糖尿病のコントロールと糖尿病の罹病期間に大きく影響されます。糖尿病と言われてからの年期が長ければ長いだけ、又、その間の血糖コントロールが不良であればあるほど、このグループの合併症にかかりやすいと言われています。他方、心筋梗塞などの動脈硬化症は案外、血糖コントロールがよいのに、空腹時血糖は概ね正常に近いのに、食後の血糖が高いだけなのに、発作を起こすことが盛んに言われています。。 血糖のコントロール不良者はもちろん、軽症糖尿病であっても、常に合併症が出るかも知れないと考えて「自覚症状」には頼らないで、定期的な「合併症チェック」のための検査が必要です。
糖尿病は、体内のブドウ糖が血液の中にたまってしまう病気です。ブドウ糖がたまった状態が長く続くと、腎臓、眼、神経、血管に障害がでてきます。これらの症状がでないように、早くから日常生活を改善し、食事・運動療法を行う必要があります。それでも、うまくコントロールできない場合には、薬を服用していただくことになります。血糖値が高いといわれたら放置せず、受診されることをお勧めします。
現在、我が国には700万人の糖尿病患者がみられ、40歳以上では10人に1人が糖尿病であり、10人に2人は糖尿病予備群の境界型であることが報告されています。糖尿病は戦後の生活習慣の欧米化による肥満とストレスにより惹起された生活習慣病です。糖尿病の大部分(95%)は中年以降に発病する2型糖尿病でありますが、一部には小児糖尿病に代表される1型糖尿病(重症)や妊娠糖尿病などがみられます。一般的な2型糖尿病は無自覚、無症状に発病しますが、進行すると網膜症や腎障害、神経障害などの合併症(余病)が併発し、失明や人工透析などで医療費もかさみ、日常生活が大変窮屈なものになってきます。
人間は空気を吸って食物を食べて生きています。なぜこんな話をするかと言うと、人間は食べた物を消化管でブドウ糖にして吸収し、空気中の酸素と膵臓から分泌されるインスリンと言うホルモンを利用してATPと言うエネルギーを作って活動しているのです。 糖尿病は、このエネルギーを作るシステムにおいてインスリンが上手く作用しなくなったり、膵臓からのインスリン分泌が悪くなるとによって起こります。このため、食べた食物から作られたブドウ糖がエネルギーにならずに血液中に貯まり、尿にもブドウ糖が出てきてしまうのです。 これは例えていうなら、不完全燃焼しているストーブや自動車のエンジンと同じです。燃料を多く使うわりには黒煙ばかり出て火力も弱く力も出ませんしそのまま使用していると壊れてしまいます。 糖尿病も同様に食物(燃料)を効率良くエネルギーに換えられないため、よけいな糖分(黒煙)が出ているのです。このよけいな糖分が尿糖であり血糖値の上昇なのです。このため、糖尿病になると疲れやすくなり、抵抗力低下、体重減少が起こります。そして、長期間この状態(高血糖)が続くと、目、神経、腎臓障害が出現します。また、動脈硬化も進むため高血圧や心臓病も出現しやすくなります。 ではなぜ、エネルギー効率が悪くなってしまったのでしょう。この原因をつきとめることから治療は始まります。 糖尿病は大きく分けると2つのタイプに分けられ、一つは1型糖尿病と言ってインスリンが全く出ないタイプで、小児期に発見され治療にはインスリンの注射が必要です。 もう一つは日本の糖尿病患者のほとんどを占める2型糖尿病です。2型糖尿病は、ある程度自分のインスリンを分泌する力は残っていますが、インスリンの作用が十分発揮されなかったり、分泌量そのものが低下してしまったため血糖値が上昇してしまうのです。 また、悪性腫瘍や一部の内分泌疾患においても血糖値が上昇することがあり、血糖値が上昇する原因をつきとめる事が重要です。 そして最も大切なことは、患者様自身に糖尿病をご理解いただくことです。これは大変有効な治療法で患者様に十分な情報を提供することで病気に対する不安が無くなり、正確な情報と知識を得ることで積極的に治療に取り組む事ができ、医師からの説明がより理解しやすくなります。 このため専門病院では、2週間程度の教育入院を行っている施設もあります。御希望の方は当院での検査結果をもとに診療情報提供書を作成しますのでご紹介が可能です。